Event

「さくらおろち通信」第59号を発行しました
島根県雲南市と奥出雲町にまたがる、尾原ダム・さくらおろち湖周辺地域の自然とそこに暮らす人の営みを元気なものにしていくNPOの情報発信紙です。

PDFのダウンロードはこちらから。


 春の彼岸も過ぎ、桜も咲きはじめましたが、朝、水たまりに氷が張っている日も多いです。畑仕事に出る婆ちゃんの姿もふえました。あぁ、いまのうちに古い古い山道をたどってみたいのですが、はて、さて、どこまでできるでしょうか。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

育つものは待たねばならぬ

「あの感動はいまでも忘れない」。
 田中初恵さんは、70年前の講話、その加藤歓一郎の言葉を、語ってくださいました。
 農村がなりたつことの一番の基本は人が育つこと。つくることでも育てることでもない。だから自分の心に忠実に生きなさい。あなたがたは芽であると。

 奥出雲の山村まるごと体験事業のなかのひとこまです。
 「あなたは待てますか。ほんとうに待つと言うことを知っていますか」
 ……時代をこえたその問いをかみしめながら、3回にわたって実施した「田舎暮らし体験」を振り返ります。

20160318-P113083802
▲食の杜・忠庵で戦前戦後の生きた記憶を語る田中さん。

◆中山間地域の新たな暮らしの可能性

 奥出雲の山村まるごと体験は今年度の「しまね暮らし体験プログラム事業」として、ふるさと島根定住財団の助成を受け、2月から3月にかけて計3回、各回1名を受け入れて実施したものです。
 参加者は20代女性が2名、30代男性が1名。居住地はそれぞれ広島県広島市、東京都板橋区、神奈川県横浜市です。
 事業の目的は、県外からの参加者が、中山間地域がもつ新しい「暮らし」の可能性を発見することで、移住や交流の流れを促進すること。さて、今回はどこまでできたのでしょうか。ツアーではなくひとりでも参加できる随時開催型としてははじめての取り組みでした。本源的には数字や形に見えにくいものを追いかけるものといえます。人はなんのために生きるのかを問うような。やや粗雑にいえば、個人が生活の場として農山村を選ぶ理由、国として農山村を保全する理由、その答えを見つけることです。

◆誰もができることを積み重ねて

 さて、取り組んだ「体験」は多岐にわたります。ほだ木の運搬、牛の世話、味噌づくり、古民家の手入れ、こんにゃくの灰汁づくり、黒豆の選別、蕪の選別などなど。
 身体を動かして感じること、そこから考えることを大事にしましたが、心にずしんと響いた言葉がいくつもあります。
 衰退していく農山村の有り様を語り続ける88歳の爺ちゃんにどうしたらよいのかをきいてみたところ。
 「そんなものはない。やるかやらないか。それだけだ。やるならちゃんとやれ。本気でやれ。頭を使え。ものをよく見ろ。山も、土も、道具も、水も、市場も」
 足りないのは覚悟じゃないのか、おまえさん。鋭い眼光でそう睨まれた気がしました。
 若い農家さんのところで、豆の選別作業をしながらの言葉。
 「大きくないと動かないシステムに移行してしまった。山村はだれもができる小さなことの積み重ねでやってきた。だからひとりひとりが大切で大事」
 これ、じつはとても長いお話のごく一部です。
「全員が一致しないとものごとが決まらない田舎って変だ」という女子大生に答えた、長い長いお話です。そうではあるが、そうでもない。複雑な世界を単純に考えすぎないでねと。そういうことです。
 最後に冒頭の加藤歓一郎の言葉で思い出したことがあります。「育つものは待たねばならぬ……あなたは芽である」。どこかで聞いたと思えば、昨年6月の焼き畑の講演会で配布した資料の中にありました。姫田忠義氏が語っておられます。
 農山村の民俗を映像に記録しながら、いま、そこに生きている人がいるということを、全身で引き受けて、向き合ってこられた。
 農山村で、失われていくもの…、現に消滅していくもの…、そんなものを見続けていると、喪失感だけが募っていきがちですが、姫田はこう言います。
「あなたがいる以上そのことを考える必要はありませんでしょう。あなたが芽だから。あなたがしっかりしていれば、まわりにひとりふたりと増えてくるんじゃないでしょうか」※1「椿山—焼き畑に生きる」VHS付随の佐藤忠男と姫田忠義の対談ノート「映像は何を撮りうるか『椿山—焼き畑に生きる』をみて」より
 そこに生きてしっかり暮らしていくこと。大事なことはそれだけなのだと思います。語ることより聞くことを。つくることより見つけることを。ですね。

20160218-P113060902
▲雪深い奥出雲町下阿井で、なめこ菌を植えたほだ木を山の中に運びこむ作業をお手伝い。

20160218-P113061702
▲透き通った青い空と白い雪の中を走る運搬車。

20160218-P113060502
▲雪山に入り、山に森に何が起こっているのか。深い話を伺いました。

20160307-P113075102
▲頓原の若い農家の軒先で、こんにゃくづくりについて話を伺う。この後、灰をつくって灰汁をつくりました。

20160307-P113076102
▲漉すたびに水が透き通っていきます。

20160307-P113071102
▲雲南市木次町のカフェオリゼで味噌づくり体験。

 
【豆コラム】
大山祭り・山あがりと呼ばれた木次の春の山入り。4月24日は学校も職場も午后休となり、大山の見える山に牛を連れて登り、ごちそうを食べ遊んだのだといいます。


●3月の主な行事など

▼4月2日(土)〜3日(日)・さくらおろち湖レガッタ…島根県ボート協会主催・さくらおろち湖ボート競技コース

▼4月15日(金)〜16日(土)・中国高校ボート選手権島根県予選…島根県高体連ボート専門部主催・さくらおろち湖ボート競技コース

▼4月17日(日)・さくらおろち湖ロードレース兼島根県自転車競技選手権大会…島根県自転車競技連盟主催・さくらおろち湖自転車競技コース


▼4月24日(日)
第4回さくらおろち湖トレイルランニングレース

 今年で第4回となりました、さくらおろち湖の野山を駆け巡る大会です。27㎞のロングコースはボート競技施設を8時にスタートします。主催はさくらおろち湖トレイルランニングレース実行委員会(参加申込みは締め切られています)。
さくらおろち湖runners


●会員募集中

私 たち「NPO法人さくらおろち」は、尾原ダム周辺の自然環境や伝統文化や施設といった地域資源を活かし、様々なイベントや地域活動に取り組んでいます。 また、地域の方々とともに斐伊川水系の上流域を拠点とする団体として、積極的な情報発信を行い、流域圏における交流と絆づくりを進めているところです。
 尾原ダム・さくらおろち湖をとりまく地域を、そこに暮らす住民の方々が誇りに思い、下流域に暮らす人々とともに、長く愛しあえる関係を築くために、当法人の活動にご賛同いただき活動を支援していただける会員を募集しています。
正会員▽当法人の総会において議決権を持ちます/入会金1,000円・年会費 2,000円。
賛助会員▽活動を財政面から支えてくださる会員です/入会金1,000円・年会費1,000円。
※正会員特典としては、主催行事参加費10%オフ、イベント情報のご案内、さくらおろち通信の発送(希望者のみ)。

▼ご入会のお手続きについてはNPO法人さくらおろち事務局まで問い合わせください。
 また、こちらから入力もできます。
〒699—1342 雲南市木次町平田779—1
☎0854—48—0729


平成28年(2016年)3月22日発行   第59号
発行所:NPO法人さくらおろち
〒  699-1342
雲南市木次町平田779-1
☎0854—48—0729
 

関連記事